トイプードルの椎間板ヘルニアには、マッサージが効果的です。
完治まではいかないものの、全身の血行がよくなり症状の緩和が期待できるからです。
また、大好きな飼い主にマッサージしてもらえれば、愛犬もリラックスできて喜びます。
この記事で理解できること
- どのようにマッサージすれば良いかわかる
- 用意すべきものがわかる
- 手術をせず、症状を緩和させることができる
それでは、順番に解説していきます。
当サイトコンテンツは、飼育員・動物看護師・小動物看護士・愛玩動物飼養管理士,救命士・ペット食育士・トリマー・ホームドッグトレーナーなど資格をもつ専門家が監修しています。
目次
トイプードルのヘルニアはマッサージが効果的
飼い主であれば、愛犬の症状を少しでも改善させてあげたいと思うはずです。
椎間板ヘルニアになってしまったとき、飼い主が自宅でしてあげられることは次の5つです。
- 無理のない範囲で運動をする
- 食事管理をする
- 家の中の環境を整える
- からだを清潔にする
- マッサージをする
▽運動
獣医師から「安静」の指示が出されている場合、必ず運動は制限しましょう。
もしOKと言われても、激しい運動や急な動き、長時間の運動は控えるようにしましょう。
ただ、軽い運動はストレス発散や筋力維持に欠かせないため、散歩や遊びを短時間かつ数回に分けて行うようにしてください。
▽食事管理
椎間板ヘルニアの予防や再発を防ぐためには、運動と合わせて食事管理も行う必要があります。
運動量が減ったのに、食事量は以前と同じ…では当然太ってしまいます。
食事の量を減らしたり、ダイエットフードに切り替えて食事管理を行いましょう。
▽環境を整える
愛犬が過ごしやすいよう、家の中の環境も見直してあげましょう。
例えば、フローリングは滑りやすいため、ジョイントマットや滑り止めワックスなどを使って対策します。
足が滑って負担がかからないよう工夫してあげてください。
段差や階段にはスロープやゲートを設置するようにします。
▽からだを清潔にする
椎間板ヘルニアは症状の重症度によって後肢がふらついたり、排泄コントロールが困難になったりします。
そのため、排泄の介助やおむつを使用するとき、後肢や肛門まわり、性器周りがとくに汚れやすいです。
汚れは皮膚トラブルの原因になってしまうため、常に清潔を保ってあげることが大切です。
下半身や肛門まわりの毛を短くカットすれば、自宅での管理はしやすくなります。
▽マッサージをする
マッサージは全身の血行が良くなるため、症状の進行や改善の効果が期待できます。
また、からだの違和感や痛みが和らぐことで、愛犬はリラックスできて喜びます。
以下のマッサージ方法を参考にぜひ挑戦してみてください。
マッサージをする前に…
椎間板ヘルニアは病気の進行スピードがとても早く、症状が軽度でも必ず悪化します。自然治癒することはないので、治療が必要な病気です。
なんだか足を引きずっているな…と思ったら、その1時間後には立ち上がることができなくなってしまうことがあります。
症状によっては痛みや麻痺が強い場合もあり、早期発見と早期治療がなによりも大切です。
「あれ、おかしいな」と思ったらまずは獣医さんに相談しましょう。
診断を受けた上でマッサージを行うようにしてください。
効果的なマッサージの方法
椎間板ヘルニアになると、以下のような悩みが出てきます。
- 慢性的な背骨の痛みや筋肉がこわばる
- 筋力が低下し、関節が固くなり動かしにくくなる
- お腹の動きがにぶくなり、便秘になる
からだに痛みがある、動けないということは人間にとっても相当なストレスになりますよね。
痛みや麻痺がある部分をかばうために変に力が入ってしまい、筋肉がこわばってしまいます。
また、体を動かし辛くなったことで腸の活動がにぶくなり、便秘や下痢などに繋がることもあります。
マッサージと聞くと難しく聞こえるかもしれませんが、【からだを優しくさすってあげるだけ】でも効果があります。
そして、これを少しずつでも毎日継続することが大切です。
わたしは動物看護師として働いていた頃、獣医さんに「手当て=手を当てる」だけでも動物の心を癒すことができる、と教わりました。
大好きな飼い主が笑顔で「気持ちいいね~」と寄り添って体をさすってくれたら、きっとリラックスできます。
愛犬の毎日が少しでも快適になるよう、できることをサポートしてあげましょう。
マッサージを行う前の準備
- 飼い主と犬がリラックスできる空間をつくる
- 爪を短く切り、指輪などのアクセサリーを外す
- 手を温める
まずは心地の良い空間作りから始めます。
愛犬がリラックスできるよう、使い慣れているマットや毛布、クッションなどを用意してあげましょう。
飼い主もリラックスしたいので、お気に入りの音楽をかけてみるのもいいですね。
また、寒い部屋では体がこわばってしまうので、室温は26度前後がオススメです。
愛犬の体を傷つけないために爪を短く切り、アクセサリーを外しましょう。
外したアクセサリーは誤飲することがないよう、置き場所に注意してくださいね。
そして1番大切なのは「手を温める」ことです。
からだが温まると血流が改善し、腸の動きが活発になるためお腹の調子が良くなります。
手をこすり合わせたり、グーパーと交互に手を動かして手を温めてください。
マッサージを行う際の注意点
マッサージを行う際は次のことに注意しましょう。
- 愛犬の機嫌が悪い時
- 飼い主の気分がイマイチな時
愛犬も痛みなどのストレスから機嫌が悪いこともあります。
触られたくない…というときは無理にやらないようにしてください。
飼い主の気分が乗り気でない時も、マッサージはオススメできません。
飼い主の気持ちは手を通じて愛犬に伝わっていくからです。
お互いに気持ちがリラックスしているときに、行うのがベストです。
また、マッサージをしているときは、愛犬の表情をよく観察しましょう。
気持ちよさそうにしているか、嫌がっているかなどを見つつ、気持ち良い部分から少しずつ慣らすことがポイントです。
マッサージは愛犬の食事、前後1時間は行わないようにしましょう。
背中をもみほぐす
犬は自分の体重の7割を前肢で支えています。
「前肢~背中」に負荷がかかっているため、これらの箇所も疲労がたまりやすいです。
また、トイプードルは小型犬なので飼い主を見上げることが多く、首も疲れやすい傾向にあります。
まずは背中からゆっくりともみほぐしてあげましょう。
背中をマッサージする時は、こちらのワンちゃんのように体が緩やかなカーブを描くように寝かせます。
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①背中をなでる
毛並みに沿って、手の平でゆっくりとなでてあげてあげます。
「これからマッサージするよ~」という気持ちで軽く行ってください。
静電気の発生を防ぐために、衣服と被毛がこすれないように注意しましょう。
②背骨をつまむ
背骨に沿って軽い力でつまんでほぐしていきましょう。
背骨の両脇を親指と人差し指でつまみながら細かく場所を変えていきます。
つまむ、緩める動作に同じ時間をかけて、ゆっくり行うことがポイントです。
首からスタートし、尻尾のつけ根辺りまでマッサージしてあげてください。
愛犬が嫌がる場合は無理に行わないようにします。
③背中をこする
前肢のつけ根から背中にかけて「広背筋」という大きな筋肉があります。
人間でいうと懸垂などをする時に動く筋肉で、犬はこの広背筋がこり固まりやすいです。
前肢のつけ根~足先、背中~お尻周辺、後肢のつけ根~足先と手の平を使ってクルクルと円を描くようにさすりましょう。
トイプードルは体が小さいので、小さな円を描くとまんべんなくマッサージすることができます。
①~③を2、3回、無理なく繰り返してあげましょう。
ホットパックを試してみよう!
自宅でできるケアとして、椎間板ヘルニアの改善には「ホットパック」がオススメです。
からだを温めることは血液循環を改善したり、気持ちをリラックスさせる効果があります。
小さな使い捨てカイロを使っても良いのですが「低温やけど」に注意してください。
このワンちゃんが使っている「あずきのチカラ」は市販されている物で、もともとは人間用です。
じんわりと体を温めてくれるので、高温になり過ぎず安心です。
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同じ場所に乗せ続けないように、少しずつ場所を変えてあげましょう。
体を温めてあげるとより一層マッサージの効果が期待できます。
屈伸運動をしてみよう
椎間板ヘルニアになると、筋力が低下していきます。
すると、関節も固くなり動かし辛くなるため、筋力を落とさないトレーニングも大切です。
- 態勢は横向きのふせにする
- 足先を手で包み込むように持ち、足を曲げ伸ばしする
こちらの動画を参考にしつつ、無理せず行ってあげてください。
人間でも犬でも「冷えは大敵」です。
足を動かすことによって便が出やすくなったり、血行が良くなったりします。
無理な方向に引っ張らないように気をつけてください。
からだが不自由になってしまったとしても、できるだけ今まで通りの生活に近づけることでストレス軽減につながります。
足先のマッサージをしてみよう
犬の肉球にはたくさんの「足ツボ」があります。
ツボをマッサージしてあげることで、血流改善や疲労回復、スタミナU効果を期待できます。
次の動画を参考にしてみてください。
足ツボマッサージを行う際は、クッションやマットを使って楽な態勢にしてあげてください。
足先は犬の弱点です。嫌がる場合は無理をせず、少しずつ慣らしてあげましょう。
肉球は血行が悪くなるとガサガサしたり、ひび割れたりすることがあります。
そんな時は「肉球用クリーム」などを使って温かい手でマッサージしてみてください。
ツボを意識しなくても、肉球をふにふにと揉んでいるだけで効果があります。
お互いにリラックスできる空間でゆっくりと行うことがポイントです。
お腹のマッサージ
ヘルニアになり、からだが不自由になると排便がスムーズにできなくなることがあります。
便が出やすくなる薬を飲むのもアリですが、できれば自然排便が望ましいです。
便秘には上記「屈伸運動」も効果的ですが、それに加えてお腹のマッサージも取り入れてみてください。
- 態勢は楽な姿勢でOK
- 犬のお腹に指先を肛門側に向けて、手の平を当てる
- 犬から見て「時計回り」の向きでクルクルとマッサージ
犬のおへその周りには天枢(てんすう)や、関元(かんげん)といった血液循環や便秘改善に効果的なツボがあります。
トイプードルはからだが小さく、手の平を当てにくいため、「人差し指・中指・薬指」を使いマッサージします。
このとき、愛犬を傷つけないよう爪は短く切っておきましょう。
ブラッシングをしよう
ブラッシングにはいくつものメリットがあります。
特に、トイプードルはシングルコートで被毛が伸び続ける犬種なので、細目なお手入れは欠かせません。
ブラッシングをすると、こんなにもメリットがあります。
- 皮膚表面が刺激されて血行が良くなる
- 血行が良くなれば、毛艶や毛量がUPすることもある
- 皮膚病などの異常に早期に気づくことができる
- コミュニケーションがとれ、信頼関係が築ける
- きれいな見た目を保つことができる
ブラッシングは習慣にしておくと、ブラシを見ただけで喜んで飛んでくるようになります。
なお、トイプードルのブラッシングには針金のような「スリッカーブラシ」がオススメです。
ただ、慣れないうちは肌を傷つけてしまう可能性があるため、筋肉が落ちてゴツゴツしているような場所には注意してください。
上記動画のワンちゃんのように、ごろ~んとしながらブラッシングできると、からだへの負担も少なく理想的です。
毛玉やもつれがあることは犬にとって相当な痛みと苦痛を与えてしまいます。
毎日ブラッシングを行っていれば、大きな毛玉やもつれはできにくいです。
毎日5分でもいいので、ブラッシングをやるようにしてください。
嫌がってしまう場合は、犬が気持ちいいと感じやすい「胸まわり」「背中」から始めてみましょう。「足先」は苦手なことが多いので少しずつ慣らしてみてください。
「今日は頭だけ」「明日は背中周辺」「短時間で済ませて褒める」「長時間拘束しない」というように繰り返すことで、ブラッシングを好きになってくれます。
トイプードルのヘルニア:マッサージまとめ
記事のポイントをまとめます。
- 椎間板ヘルニアにはマッサージがオススメ
- 楽な姿勢と心地の良い空間でリラックスして行う
- マッサージ中は愛犬に話しかけたり、気持ちよさそうにしているか表情を確認する
- 痛みの症状が強い場合は無理をせず、獣医師に確認をする
- マッサージに加えて、屈伸運動や足ツボ、ブラッシングも効果的
こうしたことを毎日続ければ、症状は少しずつ改善していきます。
完治まで至らなくても確実に苦痛を和らげることはできるため、心を込めてマッサージしてあげてください。