愛犬の健康管理はきちんと行っているでしょうか。
特にトイプードルのような小型犬は、お散歩に行くと茂みに飛び込んだり小さな隙間に入ろうとしたりと子供のように目が離せないですよね。
普段の生活が家事や育児で忙しいとはいえ、愛犬には長く健康でいてもらいたいものです。
健康チェックは面倒かもしれませんが、普段から気を付けていないと体調不良に気づかなかったり、大きな治療費がかかってしまったりすることがあります。
犬も人間と同じで常日頃から健康を意識することで、大病を防げたり早期発見できたりします。その結果、愛犬を守ることができ、治療費も少なくすることができます。
そこで、今回は犬にとって恐ろしい病気である「フィラリア」について、症状や予防法を解説します。
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トイプードルのフィラリア症状:どのような病気なのか
フィラリアとは、糸状虫(しじょうちゅう)と呼ばれる寄生虫の総称です。このフィラリアが寄生することでかかってしまう病気がフィラリア症です。
この糸状虫が犬に寄生してしまうことで、犬フィラリアになります。
フィラリアの成虫は、犬の心臓の右心室にある肺動脈に寄生します。
右心室は肺に血液を送る役割があり、そこに虫が侵入してしまえば十分な血液を送ることも戻すこともできなくなってしまい、最悪の場合、死に至ります。
そうならないためには、普段からの予防がとても大切なのです。
糸状虫は犬が最も寄生しやすい
もし、フィラリアにかかった犬と人間が一緒に過ごすとどうなるのでしょうか。
結論からいうと人間は感染することがあっても、発症はしません。
猫は稀に発症するケースもありますが、基本的には糸状虫が育ちにくい体質なのでほぼありません。
糸状虫にとっては犬が最も寄生しやすく、育ちやすい環境だということです。
このことから、フィラリアは犬の病気であるといっても過言ではありません。
フィラリアに感染する経緯
では、どのような感染経路でフィラリアになってしまうのでしょうか。
フィラリアとは蚊の媒介によって感染します。
約16種の蚊が媒介し、日本では次の蚊が代表的です。
- アカイエカ
- コガタアカイエカ
- トウゴウヤブカ
- ヒトスジシマカ
蚊はトイプードルのようにモコモコの被毛があっても容赦なく刺して血を吸います。
フィラリア症の犬の血を吸うことで、幼虫のミクロフィラリアを取り込み、蚊の体内で成長します。
そして、成長したミクロフィラリアが別の犬の血を吸うときに、犬の体内に入り込んでしまうわけです。
ミクロフィラリアは犬の体内で成長し、やがて心臓と肺動脈に移動していきます。
つまり、予防を怠ると自分の愛犬だけでなく、他の犬にも感染を広げてしまうことになるため、フィラリア予防がどれだけ大切なことかわかるはずです。
なお、フィラリアは犬の死因で最も多い病気だと言われていましたが、予防が認知され常習化したことで死亡率は下がってきています。
フィラリアは年齢や犬種を問わず感染してしまう
では、フィラリアにかかりやすい犬種や年齢はあるのでしょうか。
結論から言うと、犬種・年齢に問わずフィラリアに感染します。
川沿いや水辺など、蚊が多い場所は全犬種に感染リスクがあるので注意してください。
フィラリアに感染しても100%発症するわけではない
それでは、フィラリアを保持している蚊が予防していない犬を刺したらどうなるでしょうか。
刺された犬は感染こそするものの、必ず発症するわけではありません。
フィラリアがあまり成長せず、数が少ないと発症しないケースがあるからです。
そのため、「発症していない=感染していない」とうわけでないことも覚えておく必要があります。
そして、その状況によって後程ご紹介する治療方法も変わってきます。
フィラリアの具体的な症状
ここで、フィラリアにかかってしまったとき、どのような症状が出るか説明します。
よく見られる症状は以下の通りです。
- 元気・食欲がない
- 咳をする
- 痩せる
- 呼吸が苦しそう
- おなかが膨らんできたり
- 赤みを帯びた尿をする
これらの症状が見られたら、かなり悪化している可能性が高いので、早急に病院に行くことをおすすめします。
初期の段階では軽い咳をする程度でとても気付きにくいです。
そして、深刻な症状が出るのは感染してから数年という長い歳月が経ってからです。
最悪の自体を避けるため、定期的な健康チェックは必要不可欠ということになります。
そうすれば、ある日突然お別れが来る、というような悲惨な事態は避けることができるはずです。
フィラリア予防には駆虫薬を使う
フィラリアを予防するためには、駆虫薬を使用します。
駆虫薬は感染させないための予防薬ではなく、感染しても「幼虫を駆除して発症させない」という薬です。
駆虫薬の種類と方法は以下の通りです。
- 滴下剤 首の下に薬を垂らすタイプです。一般的にノミ・ダニの予防が一緒にできるものが多いです。月に1回やります。
- 飲み薬 色々な物があり錠剤やおやつのようなものがあります。こちらも月に1回飲ませます。
- 注射 病院で獣医さんに打ってもらいます。1度打てば半年~1年間は効果があります。
ペットショップやインターネットで購入するのではなく、きちんと病院で処方してもらうことが適切です。
投薬前にフィラリアに感染してないか確認する
投薬を始める前に、毎年必ずフィラリア検査は実施するようにしてください。
フィラリアにかかった状態で駆虫薬を使用することは非常に危険だからです。
例えば、すでにフィラリアに感染した犬に駆虫薬を使用すると、体内で多くのフィラリアが一気に死滅し、犬がショック状態に陥る可能性があります。
これは、命に係わるほど危険な状態です。
また、毎年必ず投薬しているから大丈夫、と思いがちですが油断してはいけません。
例えば飲み薬であれば、たまたま犬の具合が悪く「薬を飲ませたはずが、吐き戻して実は飲んでない」ということもあります。
滴下剤の場合は、首回りを掻いたり何処かにこすりつけたりして「体内に吸収できていない」というケースもあります。
以上のことから、投薬前に血液検査をすることはとても重要です。
蚊に刺されない対策
薬の予防とは異なりますが、蚊に刺されないよう対策することも必要です。
フィラリアは蚊を媒介にするため、刺されない工夫をするだけで感染リスクは下がるからです。
例えば、外出前に専用の虫よけスプレーをすれば効果的です。
これだけでもリスクは下がるため、「刺されないための工夫」は重要です。
フィラリア予防薬の投与時期・継続期間
前述したどの薬を使うにしても、投与すべき時期と継続期間は決まっています。
住んでいる地域の気候にもよりますが、基本的には「3月 or 4月から11月 or 12月」くらいまでの8ヵ月間程度が投薬の目安です。
適切な期間に投薬することで、予防効果を最大限に引き出すことができます。
投薬を勝手に中断しない
蚊がいなくなったからといって、勝手に投薬を止めてはいけません。
いなくなったように見えるだけで、密かに活動している可能性があるからです。
継続期間の目安を守りつつ、きちんと冬場まで投薬を続けることが大切です。
投薬の予定日がずれたら早急に対処する
もし、投薬予定日を過ぎてしまった場合は、できる限り早く投薬しましょう。
投薬していない期間が長ければ長いほど感染リスクが高まるためです。
また、半月以上予定が遅れてしまった場合は獣医さんに相談するようにしてください。
投薬していない期間に散歩などで蚊に刺され、感染している可能性があるからです。
こうしたことから、できる限り投薬予定日を守るようにすることが大切です。
フィラリアの検査は血液検査ですぐわかる
フィラリアの検査は主に2種類あります。
- 血液検査
- 顕微鏡で抹消血を観察する
上記のどちらか一方、または併用して検査します。
血液検査では、血液中にミクロフィラリアがいるかどうかを確認します。
検査キットに少量の血液を垂らし、数分待てば結果がわかります。
費用は病院ごとに違いますが、1000~3000円程度が相場です。
顕微鏡検査は血液中にミクロフィラリアがいないかどうかを観察します。
そして、検査で感染が確認された場合は、超音波検査や心電図などの精密検査に移行します。
トイプードルがフィラリアになってしまった時の治療法
では、大切な愛犬がフィラリアにかかってしまったら、どのような治療をするでしょうか。
フィラリアは寄生虫による病気なので駆除を行います。
駆除方法は犬の年齢や寄生状況によって異なるため、詳しく解説していきます。
薬剤による成虫の駆虫
薬剤で成虫を駆除します。
ただし、死滅したフィラリアが肺の血管に詰まって悪化するリスクもあるので注意は必要です。
外科による成虫の摘出
外科敵手術で成虫を摘出する方法です。
大量に寄生されていて緊急を要する場合に適用されます。
ただ、体に負担のかかる手術を行うため、「体力のある犬」という条件付きで行われます。
対処療法
対処療法は、外科手術や駆虫薬に耐えられないと判断されたときに適用され、老犬が多いです。
この場合は、体内にいるフィラリアを処置するのではく、咳を抑えたり、溜まった腹水を除去したりします。
対処療法は寄生虫を根本的に駆除するものではありません。
そのため、回復に向かうこともあれば、悪化してしまうこともあります。
対処療法の結果は、やってみなければわからないということです。
心臓や血管に負担がかからないよう安静にさせ、栄養バランスの良い食事を摂りつつ、犬自身に頑張ってもらう治療方法になります。
予防薬の長期投与
予防薬の長期投与は成虫の感染数が少なく、フィラリア症の症状がでていない場合の治療法です。
予防薬で幼虫を駆虫し、寄生している成虫が自然に減少するのを待ち、最終的に全ていなくなることを目指します。
フィラリアにかかると後遺症が残る可能性もある
フィラリアにかかってしまい、回復したとしても心臓や血管、肺などに後遺症が残ってしまうことがあります。
また、重い後遺症が残れば継続的な治療が必要になり大変です。
大切な愛犬を苦しめないためにも、とにかくフィラリアにかからないよう対策することが重要です。
トイプードルのフィラリアの症状と予防法 まとめ
以上のように、フィラリアの症状と予防法について解説しました。
どれだけフィラリアが危険な病気か理解できたはずです。
一方で、フィラリアは私たち飼い主がきちんと予防してあげれば防げる病気でもあります。
ココがポイント
- フィラリアは蚊を媒介する寄生虫
- 発症してしまうと死に至る可能性もある
- しっかりと予防をすれば防げる病気である
自分を支えてくれる大切な家族を守るため、定期的な検査と予防を行うようにしてください。